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尊敬する国民の皆さん。
就任3年になりました。
過去3年間、ろうそくの願いを常に胸に抱いて国政を運営してきました。
公正と正義、革新と包容、平和と繁栄の道を歩もうとしてきました。
一日一日が薄氷を踏むような心情でした。
困難な時も多くありました。
そのたびに国民の皆さんが力と勇気を与えてくださいました。
国民の皆さんが送ってくださった変わりない支持と声援に限りない感謝の意を表します。
残りの2年間、さらに固い覚悟で国政に取り組みます。
任期を終えるその瞬間まで、国民と歴史が与えた使命のために大きな責任感をもって全力を尽くしてまいります。
国民の皆さん。
私たちは今、世界的な激変の真っ只中に立っています。
目に見えないウイルスが世界を根こそぎ変えています。
私たちの日常を根本的に変化させ、世界経済を前例のない危機に追い込んでいます。
各国の経済社会構造はもちろん国際秩序まで巨大な変化をもたらしています。
避けたくても避けることができません。
正面からぶつかって突破する道しかありません。
「天は自ら行動しない者を助けない」といいます。
並々ならぬ覚悟と勇気をもって危機を突破していきます。
ひいては危機をチャンスにしていきます。
「チャンスは見つける者の取り分であり、チャレンジャーの取り分」といいます。
国民とともに賢く道を探し、大胆にチャレンジしていきます。
今の危機を新たなチャンスと発展の原動力にします。
私たちの目標は「世界の中の大韓民国」を越えています。
私たちの目標は「世界をリードする大韓民国」です。
私たちが願った新しい大韓民国です。
すでに私たちは防疫で世界をリードする国になりました。
K防疫は世界の標準になりました。
大韓民国の国家的地位と国民的自負心はこれまでになく高まりました。
防疫当局と医療スタッフの献身、数多くのボランティアの自発的な参加、連帯と協力の精神を遺憾なく発揮してくれた国民の力です。
私たちは国民の力で防疫戦線を固く死守し、ウイルスとの戦いに勝ち抜いてきました。
国内の状況が安定段階に入り、防疫と日常が共存する新しい日常に移行しました。
しかし私たちはコロナ以前に帰ったのではありません。
今回の遊興施設における集団感染は、たとえ安定化段階であっても、人が密集する密閉された空間であればいつでもどこでも同じような状況が発生し得るという戒めを与えてくれました。
終わる時まで終わったのではありません。
最後までさらに警戒しつつ防疫の紐を手放してはなりません。
だからといって恐れて同じ位置に立ち止まる理由はありません。
私たちが油断さえしなければ、私たちの防疫システムはウイルスの拡散を十分に制御し、管理することができます。
予期しない集団感染が発生したとしても、私たちは速やかに対応する防疫・医療システムと経験を備えています。
新型コロナが完全に終息するには長い時間がかかるでしょう。
多くの専門家が予想する第2波にも備えなければならない状況です。
しかしそれまで日常復帰をいつまでも遅らせるわけにはいきません。
防疫が経済の出発点ではありますが、防疫は生活問題まで解決してくれません。
政府は長期戦の構えで新型コロナにきっちり対処していきます。
国民の皆さんも、日常生活に復帰しながらも最後まで防疫規則をよく守ってくださるようお願いします。
防疫と日常が共存する新たなチャレンジに成功できるよう、力を合わせてください。
国民の皆さんが成熟の力を再び発揮してくれるなら、日常への移行も世界の模範になると確信します。
私たちはすでに、私たちの防疫と医療システムが世界最高水準であることを確認しました。
SARSとMERSの時の経験を活かして対応システムを発展させてきた結果です。
防疫システムをさらに強化し、世界をリードする確かな「防疫1等国」になります。
疾病管理本部を疾病管理庁に格上げし、専門性と独立性を強化していきます。
専門人材を拡充して地域体系も構築し、地域の不足な力量を補完していきます。
国会が同意するなら、保健福祉部に複数次官制度を導入する考えです。
感染症専門病院と国立感染症研究所の設立も推進していきます。
公共保健医療システムと感染症対応力を画期的に強化し、より安全な大韓民国を作っていきます。
専門家が今年の秋か冬に予想する第2波に備えるとすれば、非常に緊急の課題です。
国会の速やかな協力をお願いします。
国民の皆さん。
問題は、経済です。
今の経済危機は100年前の大恐慌と比較されています。
世界経済は立ち止まりました。
工場は生産を中断し、失業者が急速に増えています。
国境が封鎖されて交流が遮断され、グローバルサプライチェーンが崩壊し、世界貿易は急減しています。
大恐慌以来最悪のマイナス成長に直面しました。
底がどこなのか、終わりがいつなのか、誰にもわからない状況です。
私たちの経済が被る被害も実に莫大です。
4月の輸出が急減し、99ヶ月ぶりに貿易赤字を記録しました。
観光・旅行、飲食・宿泊業に始まったサービス業の萎縮が、製造業の危機へと拡散しています。
比較的堅固だった基幹産業や主力企業でさえも困難が加重され、緊急に資金支援を要請するケースが増えています。
雇用衝撃もますます大きくなっています。
失業の恐怖は零細自営業者、非正規職、日雇いを超え、正規職や中堅企業、大企業の従業員にまで全方位的に広がっています。
それこそ「経済の戦時状況」です。
この困難な状況に耐えておられる国民の皆さんに、深い慰めの言葉を申し上げます。
政府は経済危機の克服に全力を傾けていきます。
崖っぷちに立つ国民の手をつかみます。
国民の暮らしと雇用を守るつっかい棒になります。
政府は破格的で迅速な緊急処方により、GDPの10%を超える245兆ウォンを企業支援と雇用対策に投入しました。
1、2次補正に続き、3次補正も用意しています。
今後起こり得る更なる衝撃にもしっかりと備えていきます。
政府が行い得る資源と政策を総動員してまいります。
他国よりも速やかなコロナ事態の安定と新たな日常への移行を、経済活力を高める転機にしていきます。
消費刺激と観光回復の時刻表を早め、投資活性化に積極的に取り組んでいきます。
製造業が活力を取り戻せるよう支援を強化し、萎縮した地域経済を浮揚する対策も迅速に推進していきます。
国民の皆さんも、経済の主体として、防疫規則を守りながら消費と経済活動に活発に取り組んでいってください。
防疫と同様、経済危機の克服も国民が共に取り組んでくださるなら成功することができます。
危機克服のDNAを持つ私たちの国民を信じます。
政府は国民とともに経済危機の克服においても世界の模範となっていきます。
尊敬する国民の皆さん。
コロナ以降の世界経済秩序は決してバラ色ではありません。
私たちは、国際社会の連帯と協力がウイルスの前にいかに脆弱なものかをまざまざと目にしました。
現実は非常に厳重です。
各自図生(各々が生きる道を図ること)の自国中心主義がさらに大きくなる可能性があります。
これまで世界経済を発展させてきたグローバル化内の分業秩序が脅かされています。
開放と協力を通じて成長してきた私たちの経済にとっても非常に重大なチャレンジです。
危機をチャンスに変えなければ生き残ることができません。
未来を先制的に準備すべき絶体絶命の時間です。
国民の皆さん。
私は、残りの任期の間、国民とともに国難克服に邁進しながら、危機をチャンスに変えるために全力を尽くします。
世界をリードする大韓民国の道を切り開いていきます。
第一に、先導型経済によりポストコロナ時代を開拓します。
私たちは、ICT分野において優れたインフラと世界一の競争力を持っています。
バイオ分野の競争力と可能性も確認されました。
非対面医療サービスとオンライン教育、オンライン取引、防疫とバイオ産業など、ポストコロナの産業分野に強みを持っています。
人工知能、ビッグデータなど第4次産業革命技術を結合し、デジタル経済をリードする十分な能力を備えています。
革新ベンチャーとスタートアップが主力となって世界をリードする「デジタル大国」により、大韓民国を飛躍させていきます。
システム半導体、バイオヘルス、未来車など3大新成長産業をさらに強力に育成し、未来の食い扶持を創出します。
大韓民国は世界で最も安全で透明な生産基地となりました。
世界は今、安い人件費よりも革新力と安心な投資先を好むようになりました。
私たちにとっては絶好のチャンスです。
韓国企業のUターンはもちろん、海外先端産業と投資を誘致するために果敢な戦略を推進していきます。
大韓民国が「先端産業の世界工場」となり、世界の産業マップを変えていきます。
第二に、雇用保険の適用範囲を劇的に拡大し、国民就業支援制度を施行して、私たちの雇用セーフティネットのレベルを一段階高めていきます。
失業と生計の脅威からすべての国民の暮らしを守ります。
人類の歴史は、危機を経験すると、福祉を拡大してセーフティネットを強化してきました。
米国は大恐慌を経て社会保障制度の根幹を設け、韓国はIMF通貨危機を経て基礎生活保障制度を繰り上げて導入しました。
今のコロナ危機は、依然として脆弱な私たちの雇用セーフティネットをさらに強固に構築するよう求めています。
すべての就業者が雇用保険の恩恵にあずかる「全国民雇用保険時代」の基礎を築いていきます。
まだ加入していない低賃金非正規職労働者の雇用保険加入を早急に推進し、特殊雇用労働者、プラットフォーム労働者、フリーランサー、芸術家など雇用保険死角地帯を速やかに解消していきます。
自営業者に対する雇用保険適用も社会的合意を経て徐々に拡大していきます。
雇用セーフティネットの拡充は、私たちの経済の力動性のためにも必要な課題です。
法と制度を整備して雇用保険の対象を段階的に広げていきます。
国会の共感と協力が非常に重要です。
立法を通じて支えてくださるようお願いします。
また、韓国型失業扶助制度である国民就業支援制度を早急に実施していきます。
国民就業支援制度は、低所得層・青年・零細自営業者などに対して職業訓練などカスタマイズ就業を支援し、求職促進手当などの所得を支援する制度です。
雇用保険が第1次雇用セーフティネットであるとすれば、国民就業支援制度は第2次雇用セーフティネットです。
就職を準備したり長期失業状態にある国民のために必ず必要な雇用セーフティネットです。
経社労委(経済社会労働委員会)の合意を経て国会にすでに法案が提出されています。
国会が速やかに処理してくださるようお願いします。
第三に、雇用創出のための “韓国版ニューディール” を国家プロジェクトとして推進していきます。
政府は、新しい雇用を創出して国民に新たな機会を提供します。
韓国版ニューディールは、デジタルインフラを構築する未来先占投資です。
5Gインフラの早期構築とデータを収集・蓄積・活用するデータインフラ構築を国家的事業として推進していきます。
医療・教育・流通など非対面産業を集中育成し、都市と産業団地、道路と交通網、老朽SOCなど国家基盤施設に人工知能とデジタル技術を結びつけてスマート化する、大規模の雇用創出事業も積極的に展開していきます。
その過程で、個人情報の保護はもちろん、医療と教育の公共性確保という重要な価値が十分に保証されるよう調和させていくでしょう。
政府は新たな雇用創出のために公共投資を拡大し、民間協力を強化していきます。
危機克服とともに、先導型経済へと移行する足場を用意していきます。
大胆かつ創造的な企画と迅速果敢な執行により、良質の新しい雇用を積極的に創出していきます。
第四に、人の生命と安全を優先する連帯と協力の国際秩序をリードします。
私たちが防疫で示した開放・透明・民主の原則と創造的方式は、世界的な成功モデルとなりました。
私たちの社会全体がともに作り出したものです。
奉仕して寄付する行動、連携して協力する精神は大韓民国の国格となり、国際的リーダーシップの源となっています。
国際社会の好評は、私たちの外交地平を大きく広げました。
韓国が国際協力の中心に立つようになり、G20、ASEAN+3など多国間舞台でも大韓民国の地位が見違えるように高まりました。
このチャンスを積極的に活かしていきます。
防疫の成功に基づいて、“人間安保(Human Security)” を中心に置き、ポストコロナ時代の国際協力をリードしていきます。
今日の安保は、伝統的な軍事安保から、災害・病気・環境問題など安全を脅かすすべての要因に対処する “人間安保” に拡張されました。
すべての国が連帯・協力して力を合わせてこそ対処することが可能です。
北東アジアとASEAN、全世界が連帯・協力して人間安保という共通の目標に向かっていけるよう、主導的役割を果たします。
南北も人間安保に協力し、1つの生命共同体となり、平和共同体へと進んでいくよう希望します。
尊敬し、愛する国民の皆さん。
ウイルスとの手ごわい戦争をした国民は、大韓民国を再発見し始めました。
“すでに私たちは先進国” と言い始めました。私たちが追いつきたかった国々が私たちを見習い始めました。
私たちが標準になり、私たちが世界になりました。
今、大韓民国の偉大さを語り始めました。
国民が自ら作った偉大さです。
譲歩して配慮し、連携して協力しました。
危機の瞬間、より強くなりました。
国民が偉大でした。
国民の皆さんが本当に誇らしいです。
危機は終わっておらず、より大きな課題が残っています。
政府はより大きな責任感を持ちます。
危機を最も速やかに克服した国になります。
世界の模範となり、世界をリードする国になります。
新しい大韓民国として世界の中に聳え立ってまいります。
任期の最後まで偉大な国民とともに大胆に進んでまいります。
ありがとうございました。